雨の中、傘をささずに踊る人間がいてもいい。

体は社会人、心は自由人。三十路間近のネコ好き。日記や日々考えたこと、社会問題、ときどきサッカー。

道徳の教科化について2~道徳とは何か~

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前回の記事では、話題になっている「道徳の教科化」の「教科化」の部分に焦点を当てました。今回は「道徳」の部分に焦点を当てていきます。

「道徳」って本当にいろんな捉え方があって、人の数だけ道徳があるんじゃないかっていう印象すらあります。

 

世間で言う一般的な道徳とは

まずは、辞書などにおける道徳について紹介します。

1 人々が、善悪をわきまえて正しい行為をなすために、守り従わねばならない規範の総体。外面的・物理的強制を伴う法律と異なり、自発的に正しい行為へと促す内面的原理として働く。どうとく【道徳】の意味 - 国語辞書 - goo辞書

そもそも絶対的な「善悪」というものが存在しない以上、どういうものかというのを明らかにすることはできませんが、「自発的に正しい行為へと促す内面的原理」というところは参考になります。

 

社会の成員によって承認され,かつ実現される倫理的諸価値ないし規範の総体。その原理は,主観的内面的規制原理として,主体のうちに現れる自然的本能,自己保全の欲求,名誉欲,権力欲,所有欲などの利己的,本能的欲求と正義,真理,愛,誠実,信頼,平等,国益などの普遍的ないし社会的諸価値の対立あるいは現実と理想の相克を調整し,社会的成員にふさわしい行為を選択するようにしむける。

道徳(どうとく)とは - コトバンク

これは僕が思っている道徳にかなり近いです。あくまでも正しい、間違いといったことへの言及をせず、異なる価値観間の調整をし、どうするのが相応しいかを考えていくっていう感じですね。

 

教科としての道徳とは

道徳教育の充実に関する懇談会の議事録に下記の記載がありました。

道徳性の育ち、指導については、(1)子供自身の自己肯定感を育てながら、自己向上心に向けていくことが基本であり、(2)そこから周囲の人、世の中のいろいろな人への配慮、思いやり、共感、同情心が育ち、(3)そのことにより、社会の中の善悪、ルール、さらには具体的な行動のマナーを守る中で、自他の両立が可能となる、(4)その上で、世の中をよくしていこう、社会を素敵なものに変えていこうという志が育つと思う。そういった全体像を考えながら、教科化した場合に何ができるか、他の授業との関係はどうかなどについて考えるべき。

道徳教育の充実に関する懇談会(第1回) 議事要旨:文部科学省

これを読む限りでは、(1)に違和感がありますが、それ以外は概ね同意できます。「自己肯定感」とか「自己向上心」が道徳かといわれると疑問がありますが、まあ教科の内容に含んでも問題はないでしょう。

 

また、現行の指導要領から道徳で教えることを抜粋してみました。こちらは小学5・6年生用のものです。

・主として自分自身に関すること
(1)生活習慣の大切さを知り,自分の生活を見直し,節度を守り節制に心掛ける。
(2)より高い目標を立て,希望と勇気をもってくじけないで努力する。
(6)自分の特徴を知って,悪い所を改めよい所を積極的に伸ばす。

・主として他の人とのかかわりに関すること

(2)だれに対しても思いやりの心をもち,相手の立場に立って親切にする。
(3)互いに信頼し,学び合って友情を深め,男女仲よく協力し助け合う。
(5)日々の生活が人々の支え合いや助け合いで成り立っていることに感謝し,それにこたえる。

・主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること

(1)生命がかけがえのないものであることを知り,自他の生命を尊重する。
(2)自然の偉大さを知り,自然環境を大切にする。
(3)美しいものに感動する心や人間の力を超えたものに対する畏敬の念をもつ。

・主として集団や社会とのかかわりに関すること

(1)公徳心をもって法やきまりを守り,自他の権利を大切にし進んで義務を果たす。
(2)だれに対しても差別をすることや偏見をもつことなく公正,公平にし,正義の実現に努める。
(3)身近な集団に進んで参加し,自分の役割を自覚し,協力して主体的に責任を果たす。
(4)働くことの意義を理解し,社会に奉仕する喜びを知って公共のために役に立つことをする。
(5)父母,祖父母を敬愛し,家族の幸せを求めて,進んで役に立つことをする。
(6)先生や学校の人々への敬愛を深め,みんなで協力し合いよりよい校風をつくる。
(7)郷土や我が国の伝統と文化を大切にし,先人の努力を知り,郷土や国を愛する心をもつ。
(8)外国の人々や文化を大切にする心をもち,日本人としての自覚をもって世界の人々と親善に努める。

ということです。一部抜粋にしようと思ったんですが、最後の集団との関わり方についてはどれもおもしろそうだったので、まるまる持ってきました。

 

正直、いまいち道徳というものが分からなかったのですが、こうやって見てみると、自分自身に関することにおいては自己啓発本に載っているようなことを学ぶみたいで、他の人との関わりのところでは、「当たり前だよね」っていう内容を。

自然や崇高なものとの関わりっていうのはこれを見てもいまいちイメージできません。自然環境を大切にするのはいいとして、「畏敬の念」なんて教えられるものなんでしょうか。

集団や社会との関わりのところでは、下に進むにつれて怪しくなってきますね。(3)ぐらいまでは異論なさそうですが、(4)以降は議論になりそうな項目が並んでいます。

 

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まとめ

世間一般で言われている道徳、学校教育における道徳についてそれぞれ見てきました。道徳の教科化について考えるときには学校教育での道徳が何を意味しているかが重要です。

文部科学省の指導要領等を見ていると、一般的な道徳からは外れていると感じるもの(自己啓発のようなもの)も含まれているようですね。

ただ、これを見ている限りはけっこう学ぶ事項は多いようで、多くの人が心配しているような「愛国心」に対して、そんなに時間は裂けないと思うんですけどね。

 

さて、次回の記事では賛成、反対意見を紹介しながら僕の意見も書いていきます!

 

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