【感想】容疑者Xの献身(東野圭吾):本当の愛の形が見られる作品
東野さんのガリレオシリーズ、映画化もされた「容疑者Xの献身」を今更ながら読みました。
内容(「BOOK」データベースより)
天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。
1万回の愛してるより1回の行動
言葉は僕たち人間の主なコミュニケーションツールとなっています。言葉がなければ僕たちの文明はここまで発達しなかったでしょう。人間と動物を分ける大きなものは、言語の有無です。
そうは言っても言葉ですべてが伝わるほど人間関係は単純ではありません。
僕たちには複雑な感情があり、それは僕たち自身も的確に言語化することができないこともあります。自分が抱いているはずの感情でありながら、自分でさえ言語化できないというのは珍しいことではありません。
例えば、誰かに対して愛していると伝えたいとき、どうするのが適切でしょうか?
1万回愛しているって言ってみますか?
高価なものをプレゼントしますか?
その答えの1つが本書には描かれています。
秀逸なトリック/読者はすべてを知っているという錯覚
ミステリーとしても秀逸。
読者は最初から作中の警察より一歩進んでいるにも関わらず、なかなか真相にはたどり着けないようになっています。上記のとおり、描かれている人間心理も秀逸ですが、ミステリーとしても純粋に楽しめます。
やはり、この作品はまず間違いなく東野さんの代表作品となっています。
ぜひ読んでみてください。
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