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雨の中、傘をささずに踊る人間がいてもいい。

体は社会人、心は自由人。三十路間近のネコ好き。日記や日々考えたこと、社会問題、ときどきサッカー。

【感想】望郷(湊かなえ):心のトゲが抜けていきます

島という閉鎖的な空間の中で紡がれた6つのストーリー。

瀬戸内海にある「白綱島」という島を舞台にした短編集です。

湊かなえさんらしくない本作品ですが、すごく良かったです。おすすめの作品。

望郷

望郷

 

内容(「BOOK」データベースより)
島に生まれ育った人々が織りなす、心の奥底を揺さぶる連作短篇集。日本推理作家協会賞(短編部門)受賞作「海の星」収録。

 

無意識のうちに何かに縛られるというのは誰しもあると思います。

例えば、大人になって親元から独立していても、子どものときに受けた母の教えに縛られていたり。

母から物理的に解放されたとしても、子どものときに教え込まれた習慣というか「思考の癖」っていうのはなかなか直せないものだと思います

 

大人にとって取るに足らないことであっても、子どもにとっては一大事ってことはまれではありません。

トラウマという言葉が適切かは分かりませんが、どんなものがその子の心にトゲを残すかは分かりません

そして、そのトゲというのは、最初は小さいものであっても、トゲが刺さったままだとその周りも腫れ上がってきます。

 

上では大人と子どもの例を出しましたが「いじめっ子」と「いじめられっ子」でもこれは成り立ちます。

いわゆる「いじめ」と呼ばれるほどひどいものでなくとも(例えばちょっと悪口を言う/言われるっていう関係)、トゲを刺したほうはすぐに忘れちゃいますし、逆に刺されたほうはいつまでも覚えているものです。

 

「大人になったんだから、子どものときのことは許してよ」

「もう20年も前のこと、まだ根に持ってるの?(笑)」

 

というのをトゲを刺したほうは言いがちですが、トゲを刺されたほうは(その点においては)時間が止まっているということも少なくありません。

他人から見たら、大人から見たら「そんな小さいこと気にしてるの?」と言われることであっても、その小さかったトゲが、いつの間にか大きな影響を持っていることもあります。

 

本作品ではそんなトゲが抜かれていくお話が集まっています。「イヤミス」を期待して読むと予想外の展開になるのでお気をつけください。 

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告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

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