雨の中、傘をささずに踊る人間がいてもいい。

体は社会人、心は自由人。三十路間近のネコ好き。日記や日々考えたこと、社会問題、ときどきサッカー。

日本代表メンバー発表から考える世代交代~立場が人を作るという発想~

ハリルホジッチがサッカー日本代表の監督に就任して、初めての試合が3月27日にあります。その代表メンバーの発表が本日ありました。


ニュースではガンバ大阪の遠藤が落選し、同じくガンバ大阪の宇佐美が選出されたこと、川崎フロンターレの車屋がバックアップメンバーながら代表入りしたことが取り上げられていますが、全体を見てみると、やはりそう大きくは変わらなかったという印象です。

まだ来日してからかなり日が浅いので、まずは様子見といったところでしょうか。徐々に彼自身の色が出てくることを期待しています。

 

遠藤が外れたということが取り上げられていますが、やはり次のワールドカップを見据えると、遠藤に頼っていてはダメだ、世代交代しなければいけないという気持ちが伺えます。

 

世代交代は無理にしなくてもいい?

元中日の落合監督は「世代交代を進める」といった考えを持っておらず、「常に実力が上の者を使う」というスタンスでした。つまり、伸びしろがある若手を使うという発想ではなく、「練習で実力をつけて、レギュラーより上手くなったら使う」という考えのもと、采配を振るっていました。

 

また、クラブチームであれば「伸びしろのある若手を優先しよう」という発想は受け入れられやすいですが、「代表チームは育成の場所じゃない!」という意見も耳にします。

 

地位が人を作るということ

またまた野球の監督からなんですが、ヤクルト、阪神楽天で監督を務めた野村監督は「地位が人を作る」ということを常々言っていました。つまり、「レギュラーに抜擢されたら、レギュラーにふさわしい選手になっていく」ということです。当然、ある程度の実力があることを前提にしていますが。

 

心理学の実験でも、このことが証明されています。

1971年8月14日から1971年8月20日まで、アメリカ・スタンフォード大学心理学部で、心理学者フィリップ・ジンバルドー (Philip Zimbardo) の指導の下に、刑務所を舞台にして、普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまう事を証明しようとした実験が行われた。模型の刑務所(実験監獄)はスタンフォード大学地下実験室を改造したもので、実験期間は2週間の予定だった。
新聞広告などで集めた普通の大学生などの70人から選ばれた被験者21人の内、11人を看守役に、10人を受刑者役にグループ分けし、それぞれの役割を実際の刑務所に近い設備を作って演じさせた。その結果、時間が経つに連れ、看守役の被験者はより看守らしく、受刑者役の被験者はより受刑者らしい行動をとるようになるという事が証明された。スタンフォード監獄実験 - Wikipedia

 

遠藤の落選から考える世代交代について

確かに遠藤の存在は日本にとって貴重ですし、世間では何年も前から後継者探しが行われてきました。こちらの本によると、ブラジルワールドカップで指揮を取ったザッケローニ監督はサンフレッチェ広島の青山をそのように見立てていたようです。

しかし、青山もひとつのオプションであって、ディフェンスの吉田や中盤の長谷部、前線の本田のような中心選手になっていったわけではありません。

 

現在は鹿島アントラーズ柴崎岳が一番近い存在のように考えられていますが、やはり遠藤が退くことによって、彼らの意識はいっそう高くなることでしょう。

 

サッカーの本番は4年後のロシアワールドカップ。遠藤が必要ならもう少し先にでも呼べばいい。でも、今は「地位が人を作る」を信じて、若手の成長に期待したいものです。