小説を読み返さない人は人生半分損している
小説に限らず、音楽や映画でも同じだと思います。
良い作品っていうのは、読み手が人生のいかなるステージにあったとしても、訴えかけてくるものを持っていると思います。
僕たちは日々成長していきます。その成長の過程で趣味・嗜好も変わっていきます。
僕は小学生のときはテレビゲームばっかりしていたんですが、大人になった今、スマホのゲームをぽちぽちするだけで、テレビの前に座って「さあ、やるぞ!」と気合を入れてPS3を起動することもなくなりました。はい、PS3も持っているのは持っているんですが、ここ1年ぐらいは電源入れてないです。今年、DVDレコーダーを買うまでは「DVDを見る機械」という役割が与えられていたんですが、それもお役御免になりました、残念。
江國香織
僕が初めて自分で買った小説は、江國香織さんでした。姉が「きらきらひかる」か何かを読んでて、その影響で適当に手に取った覚えがあります。中学生のときでしたね。「ホリー・ガーデン」、「号泣する準備はできていた」、「落下する夕方」、「冷静と情熱のあいだ」、「思いわずらうことなく愉しく生きよ」あたりは読みました。
その当時はその当時なりに楽しく読んでいたのですが、なんだかんだ振り返ると、「江國さんの良さって大人にならないと分からんよな」と感じています。江國さんの小説って、少し齢を重ねた大人が人生にもがき苦しんでいる様を描いているので、中学生のまだケツも青いガキんちょに何が分かるって話ですよ。
GARNET CROW
それと同じ話なんですが、僕はずーっとGARNET CROWが好きでした。「夏の幻」からファンになり、解散するまで13年間、聞き続けました。
GARNET CROWも同じなんです。AZUKI七さんが書く歌詞の背景にはキリスト教や仏教の考え方があり、それらを深く理解しないと読み解けない部分も多くあります。AZUKI七さんが何かの宗教を信仰しているかとかそういう話ではなく、人生経験を積まないと分からない部分が多く、これまた鼻水たらした中学生が理解できるかというとそんなわけはないんですよね。
中学生が「色即是空、空即是色」なんていうのは知識としては知っていても、身をもって感じることもなければ、「この世は無常である」なんて言い出しても、それはただ「意識高い系」と形容されるだけです。
コーヒーやお茶
これって良質なコーヒーやお茶と似ていますよね。
以前、マツコさんと有吉さんがやっている怒り新党という番組で、気軽に飲めないお茶の特集をしていました。その中で出てきたのが茶工房比留間園さんの3g で5400円するお茶です。比留間園さんが考案した「八重奏(やえのかなで)」という淹れ方で飲むと、1つの茶葉で8つの味が楽しめるということでした。
コーヒーでもものすごくおいしいところだと、淹れてすぐに飲む味と、少し冷めてから飲む味では全然違うこともあります。
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まとめ
僕たちの人生は等しく1日24時間しかありませんし、確かに新しいもののほうが魅力的に見えます。
限られた時間の中では、新しい本、新しい映画、新しい音楽に意識が向かいがちですが、僕は夏目漱石の「こころ」、太宰治の「人間失格」、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」については、だいたい5回ぐらい読んでいます。
新しい本に手を出したいと思いつつ、ついつい手に取ってしまうんですよね。GARNET CROWも聞き飽きるぐらい聞いていますが、なぜか聞き飽きません。不思議。
みなさんも『この小説は今までにないぐらいおもしろかった/感銘を受けた』という小説については、もう一度、時間を置いてから読み返してみることをお勧めします。